2016年3月26日土曜日

《観劇》リボンの騎士 -鷲尾高校演劇部奮闘記- のこと



リボンの騎士 
-鷲尾高校演劇部奮闘記-

at 六行会ホール
2016年3月12日(夜公演)
終演後アフタートーク有






















※既に終了している公演なのでじゃんじゃんネタバレしています。もしDVDなどを楽しみになさっている方はご注意ください!

楽しみにしていた、鈴木裕乃ちゃん主演の舞台「リボンの騎士-鷲尾高校演劇部奮闘記」(以下、「リボンの騎士」)、しかしこの「リボンの騎士」というモチーフで鈴木裕乃主演といったら、どーーーしてもサファイア王女姿の裕乃ちゃんを期待してしまっていて、期待と妄想が膨らみすぎていた私は、直前に初日を観た友人から、なんと「裕乃ちゃんのサファイア王女姿は舞台では出てこない」という事実を聞かされ、かなりガックリきていた・・・。(でも観てる時に無駄な期待しなくて済んだから、事前に聞いておいてよかったと思う)
しかし、聞いた時は猛烈にもったいねーーー!!!という気持ちだったけど、劇そのものが本当に素晴らしかったので「このお話に『サファイア王女姿の裕乃ちゃん』は出てこなくてよかったのだ!」と納得できた。
当たり前だけど、ヲタの妄想とか見たいものを具現化するだけなら同人誌でやればいいのだ。それだけでは、演劇として素晴らしいものにも、完成されたエンターテイメントにもならないんだなとわかった。


高校の女子ばかりの弱小演劇部で『リボンの騎士』をやろうと裕乃ちゃん演じる主人公が提案し、タイトルに奮闘記とあるように様々なトラブルにぶつかりながらも何とか公演をやりとげる、という物語。
なので、必然的に部活動の舞台稽古中のシーンが多く、舞台衣装はほぼ稽古着のジャージ+Tシャツ、体感時間的には8割がジャージ・2割がセーラー服という感じだった。(普通のセーラー服姿が見られたのは結構テンション上がった)
そしてこの稽古着の裕乃ちゃん、着てるTシャツが本当に可愛いものばかりだった!

(twitterで話題になってた、後半ずっと着てるDiorのアニメ柄みたいなTシャツもめちゃ可愛かったが、始めの方で着ていたの猫Tシャツも超〜〜〜可愛かった!確かこんな感じの猫柄だったと思うけど、記憶に自信がない…。あと、↑画像左上のような、何かのロゴが大きく入ったTシャツも着てた気がする。黄色いのは演劇部のTシャツで、後半は部員みんなが着ていた。全体的に鮮やかな色のTシャツが多かったな)


※アフタートークの時に描いたメモ
Dior Tシャツの柄は複雑だったので後でネットで検索して細かいとこ答え合わせした。
(そして検索したついでに出てきたオークションサイトで自分もお揃い色違いのものを買ってしまった)



裕乃ちゃんは座長だけれども、本人もインタビューで言っているように、周りの役者陣がベテランばかり。
やっぱり舞台はその人のまるごとが出てしまうから、技術的なこともそうだけど、たくさんの舞台経験を積んでいる人の中だと、裕乃ちゃんは本当にまだまだヒヨっ子という感じだった。
でも、まゆみという役の演劇にかけるひたむきさと、裕乃ちゃんがベテラン勢の中で表面上には必死さをあまり出さずに内側でフツフツと静かな情熱をかけている様子が重なって、観ていて違和感なく役にハマっている感じがした。
多少、いや大分、ファンの贔屓目が入っているかもしれないけど…。
そして以前に裕乃ちゃん初舞台の「フライングパイレーツ」を観た時よりずーっと声がよく通るようになっていて、怒鳴ったり怒ったりすることの多い役だったけど聞き取りやすかった。

初っ端から男性が三人出てきて応援団の掛け声的に「携帯電話の電源は〜切る!!!」とかの諸注意を呼びかけるという強烈なインパクトの演出で、物語に入り込みやすかった。
その応援団長(佐伯大輔さん)が実は男性教師の中島先生役で、演劇部の「リボンの騎士」公演で王子様役でゲスト出演する。この中島先生が、何でもテキトーな超いいかげん男で鼻クソほじりながら喋るのが癖というヒドいキャラクターだった。(原作では同級生の男子生徒という設定だったらしい)
ほとんどが演劇部員の女子生徒なので、男性は少なかったが、校長先生と漫画のキャラクターの王子役(一人二役/水谷あつしさん)の方も、応援団員役とヒョウタンツギ役(一人二役/増田裕生さん)の方も前述のヒドい先生も、皆さんベテラン俳優の方々で、安定して楽しめた。
女子生徒は10人以上いてどうしても全員憶えきれなかったが、ダブル主演で裕乃ちゃん演じるまゆみの親友で、演劇部のエースでサファイア王女役を演じるトーコ役の伊藤優衣さんの、舞台女優然とした動き・佇まいが印象的。不自然なくらい明るく元気な性格だけど実はお家の複雑な事情を皆には隠していたという、暗い部分も感じさせていた。機敏で本当に妖精みたいな動きだった。
主演二人以外で最も印象深いのは、唯一の三年生部員である花本先輩(能條由宇さん)。クソ真面目なメガネキャラで、皆で話し合うシーンなどで真面目すぎてトンチンカンな事を言ってズッコケさせたりするコメディエンヌ。
パンフレットのコメントやブログやこの日のアフタートークなどで聞いた限りでは、女子生徒役の女の子たちは「役について考える時、ネットで○○(自分の役のキャラクターのキイワード)を検索しました」と言っている子が多くて、現代的だな〜!と思ったのだけど、能條さんは「この物語の中での自分の役の意味」を深く考えて自分の中で出したテーマをもとに演じていたそうで、勿論ネットで検索したりすることも一つの方法だけど、能條さんのやり方はガラスの仮面1巻で、マヤが学園祭の劇で端役(村の皆から笑われてばかりのビビ。それもまた今回の花本先輩と重なった)ながらも役の心を掴んだ演技で観客の胸を打つという場面を思い出した。マヤほど主役を差し置いてしゃしゃり出てはいなかったけど、ただのおもしろキャラというだけじゃなく、スクールカーストの下層に位置する女の子が居ることで、学校が社会の縮図であることをより明確に表せるというご本人の考えを聞いて、なるほど〜!と思った。



すごい長くなってしまった!けど、ここに書ききれないぐらい一人一人が本当に魅力的だった。

個人的にグッときた場面は、まゆみがなぜ「リボンの騎士」のお話に拘ったのかがわかるところ。小さい頃に母親から教わって、その時から漫画の登場人物たち(ヒョウタンツギ含む)が少女のまゆみのそばにいて、物語の中でも度々「リボンの騎士」のキャラクターたちが登場し、ついには演劇部の最大のピンチの時にキャラクターたちが現実に助けてくれたりもする。でも、物語が終わる頃に「もう、まゆみには自分たちは必要ないのだ」とキャラクター達が自ら離れていった。
架空のキャラクターたちが寂しいまゆみの心をずっと支えていたけど、成長し現実の仲間(演劇部員)を得たまゆみからは離れていった。
こういう「大人になったら見えなくなる・お別れする」系の設定に弱いので結構マジで泣いた…。

あと、ヒョウタンツギは、原作「リボンの騎士」に登場するヒョウタンツギがお話の中で特に重要な役回りではないことで「自分だけ何の役にも立ってない」と悩んでいたが、最後の最後、本番中にステージに重要な小道具を置き忘れるという事件が起こり、まゆみがヒョウタンツギとして舞台に出てその小道具を取りに行くという、「ヒョウタンツギ」という役があったからこそ突然現れておどけながらピンチを切り抜けることができた、超役に立ったよ!という場面も泣いた。

あとあと!サファイア王女役のトーコが、王子役の中島先生とのキスシーンを嫌がり、本番前にまゆみと二人きりの時に「お芝居がファーストキスなんて嫌だから、どうせならまゆみと今キスしちゃおう!」と言う突然の百合シーンもものすごいドキドキした!
「いやいや〜ないでしょ!」と言って一旦はやめるが、思い出話などしている内に段々とイイ雰囲気になり、最終的に「じゃー、しよっか!」とキスするという流れがリアルでよかった…。

そして!最も印象的だったのは、本番中に紙吹雪を降らす演出の際に、降らし係の子の手違いか、もしくはわざとか、舞台上でなく舞台裏に雪がハラハラと降ってくる場面。
「何やってんだよ!ここじゃねーよ!」と、ミスだと思ったまゆみは怒るが、この時漫画のキャラクター達が「違うよ、君に向けて降らせてるんだよ」と言った。


ずっと舞台裏で頑張ってきたまゆみへの祝福のように降る紙吹雪が本当に綺麗だった。
この「舞台裏に降る雪」のとても美しいシーンは、もし裕乃ちゃんがサファイア王女役をやっていたら観ることができなかった筈だ。
この配役で、この場面を観ることができて、よかったな〜〜〜と、最初の不満が完全に払拭されたのであった。



アフタートークでは、主演二人と男性陣に加えて、女生徒の部員達の中から数人(花本先輩含む)、「自分の役以外でどの役をやってみたいか」など色々なトークテーマで、稽古中や楽屋での様子もうかがえる楽しいトークだった。
伊藤優衣さんが「裕乃が楽屋の鏡の前が片付いてて一番綺麗」と言うと裕乃ちゃんが「いつもバッグ置いてない。盗られそうで…」と問題発言したり(「そんなに信用してないんかーい!」と大騒ぎに)、
他の女生徒(お名前失念)が「お客さんからは見えないのだけど、裕乃ちゃんがヒョウタンツギに扮して小道具を取りに行く場面で、いつも全力で踊ってくれるので皆可笑しくて笑ってた」と言うと校長先生役の水谷あつしさんが「ひろの〜ちょっとやってみようか!」とナイスパスして(「お願いします!やってください!」と土下座までされていた)、共演者しか見えない位置でやっていたその踊りを嫌々ながら再現してくれたりと、かなりサービス精神旺盛なトークだったと思う。
そしてキャスト同士の良い雰囲気も伝わってきた。(水谷あつしさんが裕乃ちゃんを「ひろの」って呼び捨てにしてたの、なんかすごい萌えた)
ヒョウタンツギ再現シーンをやり終えた後、裕乃ちゃんが無言で水谷あつしさんに拳銃を突きつけていたのもよかった。








長々と取り留めもなく書いてしまったけど、とにかく裕乃ちゃんのファンとしても、演劇というものが好きな人間としても、心満たされる素晴らしい舞台だった。
「リボンの騎士」、ありがとう!
でも、チケットを普通郵便で送るのだけは絶対やめて!





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